【分科会A-2 関心期・準備期の行動変容】

分科会長の森です。関心期・準備期の分科会では、「情報発信」と「UX」を軸として2つの演題を中心に会を進めていきます。

演題1:「社会を変える予防医療マーケティング」

演者:キャンサースキャン

高齢化が進む中で、社会保障の2040年問題を抱えており、この構図を変えていくことが急務である。

問題解決として国は「健診」に着目して、受診を推進しているが、目標値の受診率60%とは程遠い状況にある。

株式会社キャンサースキャンは個人の健康活動における「関心」と「行動」を移す手法を明らかにして、特定健診の受診率を向上させて2040年問題解決のきっかけを作ることを目的として事業をおこなっている。

都道府県、国民健康保険団体連合会、自治体をコンサルティングして、マーケティング・AI・行動経済学(ナッジ)の力で改善し、確立した受診率向上理論を厚生省と連携して全国に拡散中である。

現在400以上の自治体と契約をして、独自のノウハウを確立中のキャンサースキャンの今まで取り組みを共有する。


プロフィール紹介

■万野智之 プロフィール

ソーシャルマーケティング事業本部マネージャー 

1985年生まれ。立命館大学経済学部卒業。前職は、民間企業にてマーケティング職に従事。キャンサースキャンに入社後、全国の自治体の受診率向上の企画立案・運用を支援

 

■日比野雅人 プロフィール

 

ソーシャルマーケティング事業本部 マーケティング推進G

1993年生まれ。千葉大学法経学部経済学科卒業。大学卒業後は健診機関向けにクラウドサービスおよびアプリの営業を経験。

プラットフォームだけでなくより多くの人が動く仕掛け作りに携わりたいと、キャンサースキャンに入社。

プロジェクト担当として全国50市町村の受診率向上事業に参画、取り組みを支援。


演題2:「デジタルネイティブ時代における医療情報発信」

演者:メディカルノート

現代の医療における情報源の主役はインターネットである。

2015年のGoogleの発表によれば、検索処理にかけられている医療関連ワードは1日におよそ1.5億にのぼる。

また、2017年の横浜市の調査では50%を超える市民が大きな手術を受ける際にインターネットによる情報を参考にして病院を選択しているとされている。

この調査では雑誌・書籍はわずか3%程度に留まっている。スマートフォンが急速に進歩する中、これからさらにインターネットにおける医療情報は存在感を増すだろう。

メディカルノートは2018年6月のYahoo!との資本業務提携以降、「心筋梗塞」など病名を検索すると(一部のがんを除いて)最上位に表示される。

2019年8月時点で月間2000万程度のユーザーを持つ日本最大級の医療情報ウェブサイトである。「医師と患者をつなぐ」を理念として2014年10月の創業以来、臨床・教育・研究の第一線で活躍するスペシャリストの医師・医療従事者による監修・執筆やインタビューを通じた情報発信を続けてきた。

病院だけでなく学会や自治体との連携も積極的に行いながら2000名近くの医師と共に医療情報発信に取り組んでいる。

オンライン診療の普及、IoT、5G…これから情報通信技術の進歩により医療における時間的・空間的制約がさらに取り除かれるようになるだろう。

さまざまな主体における医療情報発信においてもインターネットの役割が大きくなりつつある。ここで注意すべきことは、医学的に正確かつ体系的な情報発信をしたとしてもそれに対する的確な導線やタッチポイントがなければ、情報を届けることができない。

インターネットにおける情報発信にとって検索エンジンやFacebookなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などの活用を包括した概念である「デジタルマーケティング」を意識することは極めて重要である。米国のトップ医療機関においては積極的なデジタルマーケティングが行われている。

本研究会においてはメディカルノート立ち上げの経験と国内外の医療情報発信やデジタル・マーケティングの現状について概説したい。

プラットフォームだけでなくより多くの人が動く仕掛け作りに携わりたいと、キャンサースキャンに入社。

プロジェクト担当として全国50市町村の受診率向上事業に参画、取り組みを支援。


プロフィール紹介

株式会社メディカルノート 代表取締役・共同創業者/医師・医学博士 井上祥

横浜市立大学医学部卒。横浜労災病院研修医を経て横浜市立大学大学院医学教育学・消化器内科学在学中よりメディカルノートを創業し現在、代表取締役。

2019年時点で月間2000万程度のユーザーを持つ日本最大級の医療情報サイトへと成長し、Yahoo、東京海上や横浜市と提携中。横浜市立大学非常勤講師。